東京オリンピックが間近に迫っています。
水泳や柔道などメダルが期待される競技の報道は多いですが、新たに導入される新競技の報道は少なく、ルールを把握していない人も多いのではないでしょうか。

夏季オリンピックも冬季オリンピックも毎大会、新しい競技が追加されます。
2020年に開催される東京オリンピックで追加が決定しているのは5競技です。
オリンピックに詳しい神澤光朗氏が解説します。

 

追加される5つの競技について

まず野球・ソフトボールと空手です。
くわえてスポーツクライミングとスケートボード、サーフィンがあります。
後半の3つは趣味的な要素も強いとされてきたエクストリームスポーツに分類されます。

これらの新競技のルーツと競技形式などを示していきます。
日本の野球人気が、2020年に再びオリンピック競技になることに貢献しましたことは疑いようがありません。
野球のルーツはイギリスとアイルランドで人気のあったラウンダーズと呼ばれるスポーツだと言われています。
野球の試合は、それぞれ9人の選手で構成される2つのチーム間で行われ、交互に攻撃と防御を行います。

標準的なゲームは9回のイニングで構成されています。
ソフトボールは野球から派生した競技であり、2020年のオリンピックでは女性がプレーします。
野球との主な違いは、ボールが大きいこととフィールドが小さいこと、投手がボールをアンダーハンドで投げることです。

 

歴史が長いボクシングとフェンシング、レスリング

オリンピックで行われている武道の中でボクシングとフェンシング、レスリングの歴史が長いです。
さらに柔道とテコンドーもオリンピック競技となって、世界的な認知度が上がりました。

すでに5つの武道があるため、空手の追加は関係者を驚かせたそうです。
空手は一般的な突きや蹴りにくわえ膝の打撃、肘の打撃で攻撃します。
そして手刀や掌底などのオープンハンドのテクニックなど、多数の動きを含むという点で総合的な格闘技といえます。

2020年のオリンピックでは、空手の2つの形式で争われます。
組手はスパーリングの分野であり、男性と女性にそれぞれ3つの階級が設けられます。

世界空手連盟は通常5つの階級を設定しますが、コンパクトなオリンピックを目指していることが影響してか、3階級となりました。
形は規律が大切であり、男性と女性が1つのカテゴリーで競います。

 

スケートボードの導入が決定された理由

スケートボードの導入が決定されたのは、オリンピックに対してミレニアル世代に興味を持ってもらおうという狙いがあったと言われています。
スケートボードは、前後2組4つの車輪が付いた木製のボード上でダイナミックな動きをする競技です。

いわゆるカウンターカルチャースポーツと考えられています。
2020年大会はパークとストリートの2つの分野で競われます。
パークでは、ハーフパイプやクォーターパイプなど、一連の動きでスケートを行います。

スケーターはスピードやジャンプの高さ、アクションしながら板を掴むグラブに基づいて、審査員から評価されます。
ストリートでは手すりやベンチ、階段などの都市環境内に自然に見られる障害物を含むコースでスケートを行います。
難易度の高い演技をしたスケーターが高いポイントを獲得します。

 

ロッククライミングの一分野であるスポーツクライミング

スポーツクライミングは、ロッククライミングの一分野です。
2020年の夏季大会では、ボルダリングとリードクライミング、スピードクライミングの3つの形式が実行されます。

競技の舞台は江東区青海にある人工のクライミングウォールです。
ボルダリングは、ロッククライミング内のより技術的な分野であり、ロープを使用せずに岩の短い部分を自由に登ったり、壁を登ったりします。

選手は、時間内により少ない試行回数で課題を達成することを目指します。
リードクライミングでは、ロープを取り付けたままクライミングウォールの指定ルートを登ります。
ゴールまではやく登ること、あるいは転倒する前に相手よりも高いポイントに到達することで勝敗が決まります。

スピードクライミングは向かい合い、アスリートがノックアウト形式で競います。
相手よりもはやく15メートルの壁に登れば勝利です。

 

オリンピックが若者に深く関連づくように追加されたサーフィン

スケートボードやスポーツクライミングのように、サーフィンもオリンピックが若者に深く関連づくように追加されました。
東京から60キロほど離れた釣ヶ崎海岸サーフィンビーチで競技が行われます。
男性用と女性用の両方のカテゴリーがあります。

競技をするにあたっては、それにふさわしい波が存在することが不可欠であるため、16の待機期間を設けています。
サーフィンは長くロングボードとショートボードの2種類で競われてきました。
歴史が古いのはロングボードの方ですが、東京オリンピックでは、細かいターンが可能なショートボードのみとなりました。

三次元のダイナミックな技が見られることから、サーフィン未経験者への訴求力が高いと考えられたようです。
審査員は5人で、技のバリエーションと難易度、スピードが採点に影響します。
サーフィン発祥の地はアメリカでメダル獲得が有力視されています。

最終更新日 2025年5月12日