昨今、コロナ禍や不況の影響により多くの人が生活に困窮する事態が起きています。
中には、日本であっても深刻な貧困状態に陥ってしまう人も出現してきており、そんな時には可及的速やかに支援を受ける事を考えないといけません。
その為の基本は、社会保障制度をしっかりと理解しておく事から始まります。

社会保障制度とは

社会保障制度とは「個人の自助努力ではいかんともしがたい場合のサポート制度(=支援制度)」の事を指します。
専門用語だらけではないか等心配してしまうかもしれませんが、基本の内訳として「社会保険」と「社会福祉」、「公的扶助」と「保健医療・公衆衛生」の4つの概要を把握しておけば、利用その物はさほど難しくは無いです。

また、世界の貧困の支援や紛争の解決に携わっているユニセフについても知っておきましょう。

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社会保険

まず、社会保険ですが、 仕事中に何かしらの事故で負傷してしまったり予期せぬ病気に掛かってしまったり、老齢で働けなくなってしまった場合に一定規模の給付金を給付してもらって最低限の生活を保障してもらう事 を言います。
これは社会人になった場合には強制加入ですので例えば貧困状態になってしまったとして、制度の存在を知っているならば昔日の様に餓死等の極限状態は避けられます。
具体的には医療保険と労働保険の2つに分かれていて、前者の方は病院に受診した際に診察料の3割負担で済むという保険証関連の制度の事で、後者の方は労災や失業した際に助けてくれる制度の事と思っておけば齟齬は無いです。

社会福祉

次に社会福祉の方ですが、これは 障害者や母子家庭等、何らかのハンディキャップを負った人達に対するサポート制度 の事です。
内容を聞くだけでは、自身には無関係と思える事もあるかもしれませんが、仕事以外でも不測の事態は必ず発生します。
そんな時に負ってしまうハンディ分を行政分がかなりの広範囲でカバーしてくれますので、貧困状態を避けるという点ではやはり必ず押さえておきたいシステムと言えます。
具体的には児童と母子寡婦、高齢者と障害者関連に細分化されていますが、もしも該当すると思った場合は最寄りの市役所等の社会福祉課等に出向いて相談をしてみる事を強くお勧めします。
(※ちなみに、母子寡婦と言っても支援対象は母親限定ではなく、当然父子家庭も対象ですのでそこは誤解が無い様にしないといけません。)
児童扶養手当であったり、母子福祉資金貸付制度・母子生活支援施設等の金銭的援助を随分受けられますので、社会保険制度と併用するという使い方をするのも1つです。

公的扶助

続いて公的扶助に関してですが、これは 生活に困窮した人が自立するまで行政が面倒を見てくれる制度 を指します。
生活保護制度が中でも有名ですが、例えば破産等をして生活が立ち行かなくなってしまったとして、まず基本として食費に光熱費に被服費等の面倒を見てもらえます。
これに家賃と住宅関連の諸々の雑費をサポートしてくれる住宅補助も追加されますし子供が居る場合は学用品の購入サポートがあり、病院や介護関係等の生活扶助の方も必要に応じて給付されます。
新しい仕事に就くための技能実習費や、就職支度費ももらえますので、これも貧困脱却の為には重要なポイントと言えます。

憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」の範囲

ただし、もらえる金額は一定ではありませんし、被保護者の年齢や世帯構成、居住地等で変わる部分も多いという事はしっかり把握しておかないといけません。
憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」の範囲ですので、その範囲を超えたと見なされた場合には是正措置が入る事もチェックポイントと言えます。
後は申請に関しては市区町村の窓口で事前相談をした後で、保護の具体的な申請、そして保護費の支給という段取になる事も押えておくべき所です。

注意点

しかし、留意点もありこの申請の段取で自身の親族の方に「親族の〇〇氏が生活保護を申請に来ていますが、そちらでサポートは出来ないでしょうか」という問い合わせが行きます。
勿論、この問い合わせが全く気にならないという人もいますが、DV被害に遭っている等の事情で現在の居場所を親族に知られたくないという様な時には一定のデメリットがある事は否めません。
ですが、それを理由に行かないというのは得策ではなく、本当に困っている場合はここで生活保護以外のサポート専門家を紹介してもらえるケースもありますので、まずは出かけてみるだけでも行ってみる価値は十分にあります。

保健医療・公衆衛生

そして最後の保健医療・公衆衛生は、 予防接種や健康診断といった国民の健康全般に関係するサポート制度 と思って下さい。
一見すると貧困と直結していない様に感じるかもしれませんが、例えば今回のコロナ等の様に感染症対策がしっかり行われるかどうかで、国民全体の生活が激変してしまう事は起きてきます。
そういう物を事前予防する支援制度という事で、保健医療・公衆衛生のサポート制度は決して軽視出来ません。
個人レベルで落とし込むにしても、事前に健康チェックを受ける様にしておけば、ガンや生活習慣病等の貧困や死亡に直結する問題を避けられますので利用には大きいメリットがあります。

最終更新日 2025年5月12日